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書籍『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか~』 感想

 

概要

この国をがんじがらめにしてきた岩盤規制。なぜ岩盤規制は生まれ、どのように維持され、今後の日本経済の浮沈にどう関わるのか。現場の暗躍を知るトップブレーンが改革の現状と未来をわかりやすく示す。

 

獣医学部の新設

獣医学部の新設は52年になされてこなかった。一般に大学や学部は、文部科学省の許可プロセスを経て適正な計画ならば認められる。ところが、獣医学部の場合、既に存在する16学部だけしか認めず、新設は一切門前払いする規制があった。

新規参入に対する規制は、大学学部に限らず様々な分野にある。

既得権者が業界団体を作り、政治・行政に働きかけ結託し、過剰な規制を設定・維持していく。これが、いわゆる岩盤規制の基本構造である。

だが、過剰な規制と言っても、普通はクリアするのがちょっと難しい条件を並べる程度である。獣医学部のケースのように新規参入は一切禁止という露骨で極端な規制は、あまり例がない。しかも、これは法律ではなく、文部科学省が独自に定めた告示に基づく。

 

鉄のトライアングル

岩盤規制に関して指摘されるのは鉄のトライアングル。様々な分野で、業界・政治・行政の三者が一体となって岩盤のように堅く、既得権益が守られている。

例えば、獣医師会も国民全体・社会全体の中で見れば、ごく少ない集団に過ぎない。ところが、政策決定の局面では、国民全体の利益よりもいわゆる既得権団体の利益が優先される。

まず政治家にとっては、こうした団体は重要な集票マシーンである。

次に官僚機構は縦割りの構造で、それぞれの業界・団体を所管する局や課が置かれている。担当の局長や課長にとっては、所管業界・団体の利益を実現することが最優先である。

こうして政治や行政は国民全体の利益よりも既得権団体の利益に偏り、政策が歪む。一旦歪んだ規制が導入されるとこれが岩盤となる。これが鉄のトライアングルと岩盤規制の構造である。

 

 

総理よりも役所

歴代総理が進めようとしてきた改革がなぜ進んでいないのか。端的に言えば日本では総理大臣より役所の課長の方が力があったからである。

いくら総理がやりたいと唱えても、与党内に強い反対があれば進められない。関係業界が強く反発し、関係の族議員が横になってしまうようなことになればそれまでだ。

そこで根回しが重要になる。根回しを担う主力部隊が省庁の担当課長、その上司の局長・審議官たちである。官僚たちが調整役を担い、落とし所の案を用意して関係者の間を駆け回ったりする。省庁の幹部クラスともなれば、そうした準政治家業務が主業務となることも少なくない。

ところが問題は省庁の幹部たちにとって、気の進まない政策の時である。規制改革、言い換えれば事前規制型から事後チェック型への転換である。

理由は規制を担当する省庁の課長たちにとって、事前規制は権力の源泉そのものだ。事前規制があるから、業界は省庁にいちいちお伺いをたてる。その諾否の権限を握っているから、業界をコントロールができる。

総理大臣が規制改革を唱えても各論になれば、あちこちから異論・反発が噴出する。本来ならば、反対派を説得・調整するはずの根回しの主力部隊が実際には反対陣営にいるのだから、調整がうまくいくはずない。

 

同時配信

深刻に遅れてきたのが同時配信である。インターネットでテレビの生放送を見ることである。英国では2006年、フランスでは2011年、米国では2013年から、主要な地上波テレビの同時配信がスタートした。これに対して日本は2018年時点で限定的にしか実施されていない。

なぜ見られないのか。簡単にいうと民放は、制度上は何も制約がないがビジネス上の理由で慎重。NHK放送法上の制約で常時同時配信は認められていないからである。

 

電波オークション

長く争点になり続けてきたのが電波オークションである。使いたいと希望する者に価格を入札させ、その結果で割当を決めるのがオークション方式である。

長い議論の中で、推進側からはOECD加盟国のほとんど、電波オークションが導入されている。これがとうとう日本以外の全OECD加盟国でに変わっている。先進国だけでなく、インド、タイ、ブラジルなどにも広がっている。

 

現在の課題

岩盤規制は世界では1980〜90年代に概ね片がついた、いわば過去の課題である。解決しなければならない課題は他にもたくさんある。

世界各国の政府が直面して解決に苦しんでいる現在の課題は、格差とグローバル化の影への対応である。格差は拡大し、グローバル化の負の側面、とりわけ移民問題が噴出し、社会の分離を引き起こされている。

 

遠隔教育

なぜ遠隔教育を議論するのか。

英会話やプログラミングのような新たな科目では、教えられる先生はどうしても限られる。これから、さらに新たな科目が拡大していく中で、テレビ会議方式の遠隔教育の必要性は高いからである。

高校では2003年に情報という科目ができた。だが、新しい科目なので当たり前だが、先生が足りず、多くの学校には情報の免許のある先生がいない。

こういった時こそ、遠隔教育を使えば良いはずだがほとんど使われていない。代わりにどうやって対応しているかというと免許外教科担当制度という制度を使い、他の科目の免許の先生が特例的に教えている。

この免許外教科担当制度とは、1953年に教育職員免許法の改正がなされた際、附則で当分の間の措置として定められている。戦後のすぐに教員の数が足りない状況下、当分の間はやむを得ないとして設けられた制度である。