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書籍『明解 経済理論入門』 感想

 

概要

経済理論というフレームワークに従って考えれば、かなり筋のいい読み方ができるし、打率のいい策を講じることができる。

主観的、感覚的にではなく、一定のフレームワークに当てはめてロジカルに社会を見るというスキルを本書を通じて身につけていく。

 

経済理論の役割

主にデータ分析によって、現実社会で起こっている現象を普遍的な法則として説明すること。

様々な手段の打率のいい根拠となること。

これは大きく2つの役割である。

 

オークンの法則

経済成長率が上がると失業率は下がることである。

裏を返せば仕事がなくて食えない人を減らすためには、国を挙げて継続的な経済成長を目指すこと、これに尽きる。

経済成長すると国が豊かになって、国民の所得も上がるというメリットもあるが、これはいわば副産物に過ぎない。主産物と言えば、失業者が極限まで減ることなのである。

 

失業率

国としては失業率を極限まで下げることが望ましいが、企業側からすれば一定の経済成長率は保ちながらも、失業率はそこそこ高い方が都合がいい。仕事を求める人が多ければ、安い賃金で雇うことができるからである。

 

フィリップス曲線

物価と失業率の相関性を示す失業率の指標である。物価が上がれば、失業率は下がることである。物価上昇はより経済活動が活発になった結果である。そして経済活動が活発というのは、つまりビジネスが盛んに回っており、仕事がたくさん増えて人手不足である。

だから物価が上がっている時には、失業率が下がっている。この相関性をグラフで表現したものが、フィリップス曲線である。

 

失業率ゼロ

失業率はいくら下がっても限度がある。つまりはゼロにはならない。この現象をNAIRUと呼ぶ。日本語ではインフレ非加速的失業率という。要するに、物価がどれだけ上がろうと、失業者は一定の割合で存在するものだという現実社会の実態を言い表している。

 

潜在GDP・実質GDP

一つ一つのものやサービスではなく、世の中の需要量を全て足し算したものを総需要、世の中の供給量を全て足し算したものを総供給という。

総供給は、国内の労働力や製造設備などから推計され、実際の総需要量にかかわらず国全体でこれくらいは供給できるという国内総生産GDP)のポテンシャルを示す。そのことから総供給は潜在GDPとも呼ばれる。

一方、総需要とは実際に合計どれくらい需要されたかということだが、これは実質GDPを示す。

 

GDPギャップ

実質GDPから潜在GDPを引いた値を潜在GDPで割った値である。

GDPギャップの値が大きくなると失業率が下がり、物価が上がる。

GDPギャップの値が小さくなると失業率が上がり、物価が下がる。

したがってまとめると、

実質GDPアップ=GDPギャップの値が大きくなる=失業率ダウン・物価アップ

実質GDPダウン=GDPギャップの値が小さくなる=失業率アップ・物価ダウン

 

GDPとは

国内では日々、様々な経済活動が行われる。

人々が働いてモノやサービスを生産し、報酬として得た金で消費したりする。投資にはもちろん、企業の設備投資などもある。

また、貿易会社は海外との輸出事業と輸入事業を行っている。輸入は国内に入ってくる金、輸出は国外に出ていく金である。さらに公共事業など政府が生み出す需要というものがある。

GDPの内訳は今あげた全部である。つまり、

GDP=消費+投資+政府需要+輸出−輸入と定義できる。

 

財政政策

景気が悪くて成長が低迷している時に財政政策として減税か財政出動が行われる。このうち財政出動とは、公共投資などを行って世の中に仕事を作り出すことである。政府が世の中に仕事を作り出す。

つまり、不景気対策としての財政政策は国民からとる金を減らすか、国民に分配する金を増やすかの二択ということになる。

 

金融政策

GDPを増やしたい時には金融緩和という政策が実施される。GDPを増やしたい時、財政出動と金融緩和をセットで行うのが正解である。

金融緩和を行うのは、政府の意向を受けた中央銀行である。日本なら日本銀行である。

単純に言えば、民間金融機関をもっている国債を日銀が買い上げる。日銀は、唯一金を刷ることができる金融機関であり、国債の代金を新たに刷った金で支払う。つまり金融緩和が行われると金が新たに刷られて増えるのである。

こうして、国債を買い上げられた民間金融機関では、資金が以前より潤沢になる。利子収入を得るため、民間企業に積極的に資金を貸し出そうとする。したがって金利が下がり、投資が増える。

 

GDPを増やす

GDPを増やすに、財政出動と金融緩和をなぜセットで行うのか。それは財政出動だけだと、金利が上がって投資と輸出が減ってしまう。

金融政策は、日銀が民間金融機関から国債を買うことで金利上昇を抑える。これをもって財政出動による金融上昇、投資減、輸出減が回避されGDP増加につながる。

 

課税平準化理論

東日本大震災並みの災害は50年や100年に一度である。それを災害が起こった当代だけで負担するとなると、一人当たりの負担額が大きくなってしまう。しかも、復興は未来のためでもあるので、当代だけで負担するのは不平等である。

そこで重要なのが世代を超えた負担の平等性という視点である。つまり当代だけでなく、未来の人たちも含めて負担を分け与えばいい。

それには国債が適している。

例えば、100年かけて返す借金、つまり100年債を発行し民間金融機関などから10兆円を調達できる。

このように世代を超えて負担を平等にならしたほうが、一国の経済を健全に保ちやすい。それを理論化したものが課税標準化理論である。

 

政策割り当て定理

政治でも経済でも一つの手段できることは一つである。複数の課題を同時に解決したい場合には、課題の数だけ手段が必要になる。

それを理論したのが政策割り当て定理である。

 

補完性原理

国全体に関わることは政府、地方に特有のことは地方に取り組む。このように、国と地方とで行政機能を補完し合うというのが補完性原理である。

例えば、台風対策は地方自治体が行うべきことである。今まさに台風が直撃している。あるいは台風が通過したばかりというタイミングで政府ができることはないに等しい。むしろ、無闇に政府が被害状況などを問い合わせたりするのは迷惑だ。忙しい現場に混乱を起こし、被害拡大を招きかねない。

 

統合政府バランスシート

一国の財政状況は、政府と中央銀行のバランスシートを連結させて考えるのが国際常識である。それが統合政府バランスシートである。

国には負債もあれば資産もある。だから負債に入る国債だけを見て騒ぐのはナンセンスである。さらに日本政府には日本銀行という子会社がある。

統合政府バランスシートを見ると日本財政は安泰といえる。

 

税理論

国が使っていい税金は目的税、地方が使っていい税金は一般財源である。

一般財源については、国か地方かどちらが税収を予算化するかという議論があるが、地方分権が進んだ国では地方の税収としている国が多い。

この税理論に加え、応益税応能税もある。

例えばゴミ収集がある。ゴミが定期的に収集されないと住民が困る。これらの対価として支払う税を受ける役務に応じて払う税という意味で応益税と呼ぶ。

ゴミ収集などの全ての行政サービスは景気の良し悪しなどに左右されない業務であり、同じく景気の良し悪しなどに左右されない税収が必要である。例えば、消費税、固定資産税、事業税などである。

一方の応能税、負担に応じて払う税である。例えば、所得に応じて額が決まる所得税や会社の規模によって決まる法人税などである。

 

年金=保険

年金として払っている金は、保険料である。そして年金は自分が長生きした時のための保険である。誰もが長生きするとは限らない。だが、もし長生きしたら、現金時代と同様に働けない身で100%自分で生活費を作るのは困難である。だから、そんなもしもに備えて現役のうちに保険料を払っておくのである。