概要
対中国、対北朝鮮、対韓国、防衛、消費税、少子化問題などを漫画と文章でわかりやすく解説している。
技術流出
中国では出資比率100%の子会社を作ることができず、中国国内企業との合弁企業を作らざる得ない。例えば、海外企業が中国国内に工場を立ち上げようとすると、中国との合弁企業となる現地法人会社を作ることになる。
すると、中国政府の役人が何かと難癖を付けて調べにやってきて、その企業の本社の情報や技術を盗む。
そしてその情報や技術を使って中国でも同じ製品を作り、低価格で売る。しかも中国から撤退しようとしても、所有権は中国側にあるので設備や機械は全て置いていけと言われる。
資金も海外に持ち出せない。それゆえに中国から撤退したくてもできない日本企業が多くある。
中所得国の罠
中所得国の罠とは、途上国が経済発展をしても1人当たりのGDPが1万ドル程度になり中所得の水準に達した後に、発展パターンや戦略を転換できないと、経済が停滞してしまうことをいう。
2020年1月21日、中国は2019年の1人当たりのGDPが1万276ドルに達し、1万ドルの壁を突破したと発表した。しかし、中国は共産党の一党独裁国家体制を堅持しようとしている。
ミルトン・フリードマンは著書「資本主義と自由」の中で、民主主義国家にならないと資本主義は発展しないと述べている。歴史的に見ても、中所得国の罠を克服できたのは政治的自由と経済的自由が担保されている資本主義の国ばかりである。
ルイス転換点
ルイス転換点とはアーサー・ルイスが唱えた理論。経済発展の初期の段階にある国々は、小さな近代的セクターと農民を中心とした大規模な伝統的セクターから成立している。伝統的セクターとは、余剰労働力で彼らが近代的セクターへと移ってくることで、経済発展を起こる。しかし、その余剰労働力はいずれ限界点に達する。そこで経済成長が一気に停滞へと転換する。そのポイントがルイス転換点である。これを乗り越えるためには、それまでの余剰労働力とは別種の経済の牽引役が必要となる。
例えば経済構造の変革である。かつては日本も高度成長時代に、農村から工業地帯への出稼ぎ労働者という安い労働力に支えられ、発展を遂げた。そしてルイス転換点を迎えた後に経済構造改革を行い、乗り切った。
一帯一路
広域経済圏構想一帯一路。これは中国からユーラシア大陸、そしてアフリカ大陸までをも巻き込んだ陸路と海路に、中国主導で巨大な経済圏を作ろうとするものである。
一帯一路とは、ユーラシア大陸をインフラ・ステーションで繋げて陸のルートとし、一方で海のルートも東南アジアで復活させようというプロジェクトである。簡単に言えば、シルクロードとスパイスロードの復活である。
これがもし繋がれば、ユーラシア大陸の貿易はアメリカの管轄から外れるので大きな覇権の変化が生じることになる。
元々一帯一路とは、中国が国有企業に巣食う既得権益層を原因として、鉄鋼や石油製品などの主要産業が生産過剰に苦しんでおり、それを他国に売っていこうという考え方で始めたのが真実である。
米中貿易戦争
アメリカが中国に対して問題にしているのは、アメリカ企業の知的財産権や技術を中国が侵害しているということであり、助成金や補助金などで中国の国内企業を不当に優遇しているということだ。その是正を求めたが、中国は合法だと主張した。そこでアメリカは自国企業の経済活動を守るための防衛手段として、また制裁の意味を込めて、中国に対して関税を引き上げ、それに対抗して中国もアメリカに対する関税を引き上げた。
これが米中貿易戦争の本質である。
ハブ・アンド・スポークス体制
アジア地域全体で見ていくと、日本を含めたアジア太平洋の民主主義の各国家は、最大の軍事力を有するアメリカとそれぞれが二国間での同盟関係を結ぶことで、北朝鮮と中国に対抗しているのが現状である。日本との日米安全保障条約、韓国との米韓相互防衛条約などである。こうした状況を自転車の車輪などになぞられてハブ・アンド・スポークス体制と呼ぶ。
セキュリティ・ダイヤモンド構想
日本は2012年にセキュリティ・ダイヤモンド構想というものを表明している。これは日本、アメリカ(ハワイ)、オーストラリア、インドの4カ国でダイヤモンド状のネットワークを構築し、アジア太平洋地域の民主主義や法による統治など、共通の価値を守っていくことを提唱したものである。
このセキュリティ・ダイヤモンド構想は現在、アメリカの対アジア戦略として、インド太平洋構想という形で採用されている。
核シェアリング
核シェアリングとは、核兵器を保有する国が、保有しない国に核兵器を持ち込み、共同運用するシステムのことで既にNATOで実際に行われている。
冷戦時代、ソ連の核脅威に対してNATOが行ったこの核シェアリングは、結果的にソ連の核攻撃を抑止したことは確かである。アメリカとソ連との間で結ばれた軍縮条約INFの締結にも貢献し、ソ連の崩壊を導いた一つの要因となっている。
イギリスの利点
イギリスはEUに加盟していても、共有通貨であるユーロには参加していなかった。ユーロに参加しないということは、自国通貨であるポンドを発行し、自国のための金融政策ができるということである。それでいてEUに加盟して自由貿易圏の利益を得ていたのだから、最強のポジションにいたといえる。
EU離脱したことは経済的にデメリットが大きいのである。
ロシアの経済
ロシアは旧ソ連のイメージを引きずっているので世界の大国と思っている人が多いが、そうではない。確かに軍事力はグローバル・ファイヤーパワーが発表している2019年軍事力ランキングを見るとアメリカに次ぐ第2位に位置づけられているが、経済規模を見ると、2018年の名目GDPは1兆6572億9000万ドルで世界台12位。第10位の韓国よりも低い。
経済政策で人が死ぬか?
公衆衛生学者のデヴィッド・スタックラー氏と医師のサンジェイ・バス氏の共著『経済政策で人が死ぬか?:公衆衛生学から見た不況対策』という本がある。
ここにはいくつかの事例から、不況や経済危機に対する政府の政策対応いかんによって人々の健康状況、ひいては生死に大きな影響が及ぼされているということが過去の実証例とともに述べられている。つまり、経済政策はどんな薬や手術、医療保険よりも命に関係するということだ。
人口増加
人類の歴史では、人口減少よりも人口増加の方が大問題である。
19世紀に書かれたマルサスの古典的著作「人口論」でもこのまま人口が増え続けると、いずれ食糧不足になると警告しており、民間のシンクタンクであるローマクラブが1972年に発表した報告書「成長の限界」でもこのまま人口が増え続けると、100年以内に人類は危機的な状況に陥るとして世界的に注目を集めた。最近の経済成長理論でも、人口増加は1人当たりの資本を減少させるとして、貧困の原因とされている。
歳入庁
現在の年金制度の問題は、日本は税金と社会保険料は別々の機関で徴収している。税金は国税庁だが、年金は日本年金機構である。これに対して海外では税金と社会保険料を歳入庁というひとつの機関でまとめて徴収しているのが一般的である。
国税庁が把握している法人の数は約280万社であるのに対して、日本年金機構が把握している法人の数は約200万社に過ぎない。つまり、差し引き80万社の年金を日本年金機構が取りこぼしていることになる。
日本はお金持ちがいない
アメリカの大手経済雑誌フォーブスが毎年発表している世界長者番付でも2019年の世界1位はアマゾンの最高責任者であるジョフ・ベゾスでその資産額は約14兆4100億円。2位はマイクロソフト創業者のビル・ゲイツで約10兆6150億円。日本人は第41位にユニクロの柳井正の約2兆4420億円、第43位にソフトバンクの孫正義の約2兆3760億円で、100位までにはあと1人いるだけである。アメリカなどに比べて金持ちの桁が違う。