概要
生き方や価値観が多様化した時代に人々が目指す領域を二つの軸で総括している。
横軸が経済的価値を重視するか経済以外の価値を重視するか。縦軸が権力志向かプロ志向かである。
このマトリックスで4つの領域に分類し、それぞれにあった7つの条件を紹介している。
・A領域は経済的価値を重視し、権力志向の人。
・B領域は経済的価値を重視し、プロ志向の人。
・C領域は経済以外の価値を重視しつつ、権力志向の人。
・D領域は経済以外の価値を重視し、プロ志向の人。
4つの領域に共通する3条件
4つの領域の最初の3条件は全て同じである。この最低限の3条件をクリアする必要がある。
①パチンコをしない人。
②ケータイゲームを電車でしない人。
③本を月1冊以上読む人。
A領域
組織での役割としての仕事を人生の中心に置き、会社組織で出世することを目指す、力を求めるタイプの人である。
④会社で仕事をする人になること。
⑤営業力・プレゼン力・交渉力を身につけること。
⑥正解主義、前例主義、事なかれ主義を破れる人になること。
⑦上司は最大のリスクである。
100倍の差
会社組織において経済的価値を求めるということは、年収をあげること。年収を上げるための必要なことは、自分の希少性を高めることである。
日本人全体の時給は、800円から8万円までの幅がある。この100倍の差は、いったいどこから生まれるのか。
それは希少性によって決まる。
作業から仕事へ
作業する人ではなく仕事をする人にならないといけない。簡単にいうと人から与えられたのが作業である。自分からするのが仕事である。
同じことをするにしても、自分から主体的に取り組めば、どんな作業でも仕事に変えることができる。
共通点
どんな仕事をするにしても、営業力がビジネスの基本となる。お客様の心をどれだけ掴めるか、どれだけ集客できるかがビジネスの成否を決める。
営業の一番の基本は、相手と自分との間に、どれだけ共通点が見つけられるのか。さらに、身につけた共通点の話題だけで、会話を30分持つかどうかである。
共通点の話題だけで話が30分できれば、営業はほぼ成功する。
相手にある要素を使う
営業力とともにビジネスの基本となるのは、プレゼン技術である。
プレゼンの極意は、相手の頭の中にある要素を使って、それを組み合わせ、相手の頭の中に映写することである。
安心感を与える
相手の話を徹底的に聞き、共通点を探して相手に安心感を与え、相手の頭の中にある要素だけで話をする。
納得解
これからの時代は、正解のない課題を解ける人間こそが、組織においてもリーダーになり、出世していく。
正解ではなく納得解をいかに導き出すかが重要である。
替えがきかない人材
替え不可能な人材とは、上司や会社が失脚させたくてもできない人のことである。
具体的には、現場の優秀な社員が大勢、自分の味方についていて、いい顧客をダイレクトに握っている人。こういう人になれば会社は簡単に辞めさせることができない。
B領域
組織に属しているかを問わず、自分の能力を磨いて、将来独立することを目標としている。一言で言えば、技を求める人である。
④社内自営業者になること。
⑤1万時間で技術を身につけること。
⑥知名度を上げるために小物にこだわること。
⑦自由、寂しさに耐えられる人になること。
セルフエンプロイド
セルフエンプロイドの意識を持って働くことである。セルフエンプロイドとは自分で自分を雇用している人という意味である。
会社に寄りかかるのではなく、会社が蓄積した資産を使い倒し、会社をビジネススクールと考えて、自分の能力を徹底的に磨いていく。
著者の視点
どんなプロを目指すにしても、ビジネスの世界で生きていくには、やはり教養がないといけない。
特に一流に人ほど教養を備えていて、教養がない人を低く見る傾向がある。
教養を身につけることができるベースは読書である。
人間は自分ひとりの視点から世の中を見ているが、これだけ世の中が多様化してくると自分ひとりだけの視点では物事を理解するのにどうしても限界が出てくる。
本を読めば、その著者の視点から世の中を擬似的に見ることができる。
1万時間
自分のスキルや技術でプロになるという分野を一つ決める。そしてその分野に1万時間を投じて練習をする。
時間がルーズな人
自分と時間のスピード感が違う人間と仕事をするほど、イライラさせられることはある。仕事仲間は自分と時間感覚が合う人を選ぶ。
C領域
組織において仕事はそれなりにしつつ、他のコミュニティーでも人と関わりながら自分を生かしていくことを目標にする。
④組織に必要とされる最低限のスキルを身につけること。
⑤無駄な時間に耐えれる人になること。
⑥組織以外のリアルなコミュニティーに属すこと。
⑦仕事以外で他者からクレジットを得られる人になること。
専門か大口
組織から追い出されない人材になるには、どうすればいいのか。
一つは自分なりの専門を持つことである。もう一つは会社が追い出したくても追い出せない人は、大口得意先を握っている人。
連山主義
右肩上がりの成長社会では、新卒で入った会社に定年まで勤め上げるのがサラリーマン人生の主流である。いわば一山主義である。
これからの時代は、いまいる組織とは別の山を自らつくり、その山に同時にのぼる、または状況に応じてひとつの山から隣の山に乗り換える連山主義が必要になる。
安売りする
社内外でいい人間関係を作るにはどうすればいいのか。その極意は、自分を高値で売らずに安売りすることである。
クレジット
人はボランティア精神あふれる人に対して、信頼と共感の気持ちを持つものである。
他者からの信頼と総量のことをクレジットと呼んでいる。このクレジットが人間関係を築くベースになっている。
クレジットが高く積み上げていくと、そのコミュニティーで活躍できるし、自由度も増していく。みんなが応援してくれるので、上に立つことも可能になる。
D領域
組織に属しているかは問わず、自分の趣味や興味の世界を追い続けることを目的としている。
④一生を捧げてもいいと思えるほど好きなものを身につけること。
⑤経済基盤は結婚相手に助けてもらうこと。
⑥固定費を下げるため、家やマンションは買わないこと。
⑦ファンをつくれ。
好きが同じ仲間
サン=テグジュペリの名言がある。
愛する。それはお互いに見つめ合うことではなく、一緒に同じ方向を見つめることである。
まず自分の趣味の世界で結婚相手を探してみよう。その婚活は、自分の強みや魅力を最も発揮できるはずである。
固定費
実家にパラサイトできる人は、実家を出ないこと。住居費がタダなら、月々の固定費を一気に下げることができる。
とにかく生活の固定費を下げることが最重要課題である。