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『「NHKと新聞」は噓ばかり』 感想

 

 

概要

新聞記者はよく新聞には一次情報が記されているという。これは嘘である。実際に紙面を見れば、政府からマスコミ用の二次資料をもらい、せいぜい有識者に取材して入手したコメントを載せている程度だからである。

本書は様々な事例をもとに、日本のメディアが伝えるべきことを何一つ報じていないことを示すものである。

 

公共財か、私的財

経済学の見地による民営化成功の大原則は公共財か、私的財かを判断するということである。

公共経済学では、財・サービスは国防、警察、消防のように公が提供しないと不都合が生じる公共財と、民間が提供可能かつ不都合が生じない私的財、さらに民間でも政府でも提供できる中間的な準公共財に分けられる。

道路の所有は公共財だとしても、建設と管理運営事業は私的財として分けて考えることができる。つまり、事業それ自体は準公共財なのである。そう判断した上で、建設と管理運営事業は民間企業の方が得意でコストも安価で済むので、全国組織だった日本道路公団を分割・民営化したわけである。

 

準公共財

ある分野への公費支出が正当化されるか否かを考える理論的根拠が、公共経済学である。芸術文化への公費支出についてもすでに研究がなされている。

学者の最大公約数的な理解として、文化的な財・サービスは準公共財であるとされている。私的財と公共財の両方の性質を抱えて準公共財は、市場の失敗によって最適な資源配分が実現されにくいことがある。 

芸術文化は純粋私的財ではないため、最適な社会的供給のためには公共支援の必要性が正当化されると同時に、社会的な判断をも要求される。表現の自由があるから、どのような内容であれ公費支出を受けられるという話ではない。

 

国民の納得・了承

国公立大学に公費投入が許されているのは、現行の制度が変わらないという前提があるからであり、もし国民の納得・了解が得られない状況に陥れば、国公立大学であろうと民営化され、公費投入がなくなることがある。あくまで国民の納得・了解があるかどうかがポイントである。

全ての公費支出には議会の承認が必要であり、そのためには国民の納得・了解が必要になる。芸術祭への支出においても例外ではない。

 

地方のテレビ

民放はすでに制度上、可能なはずのインターネット常時同時配信サービス提供を躊躇している。スポンサー離れなども心配しているようだが、本音はインターネット同時配信になると、独自のコンテンツを持たず、中央のテレビ局からの配信に依存する地方のテレビ局が過度の肥大化のせいで深刻な経営苦境に陥る。また地方テレビ局には中央のテレビ局からの天下りが多く、既得権者にとって死活問題である。

 

周回遅れ

日本の放送業界ではネット同時配信をめぐり、民放がNHKの足を引っ張るというが、世界的には周回遅れである。

イギリスBBCは、2007年から無料視聴可能なネットサービスを提供済みで、翌年には常時同時配信サービスを始めている。

 

CM

公共放送がCMで広告収入を得るのは、ヨーロッパでは普通である。NHKBBCが例外的にやっていないだけで、フランスの公共放送、ドイツの公共放送、イタリアの公共放送など北欧を除くヨーロッパ各国の公共放送は、いずれもCMによる広告収入を得ている。

 

徴収コスト

2017年度のNHK受信料収入6889億円のうち、徴収コストは735億円で、収入の1割超が契約や徴収の経費に費やされている。735億円ものお金を無駄な費用と思えないとしたら、やはり常識的な経営の感覚から逸脱している。

 

電波オークション

電波オークション。放送に用いる電波の周波数の利用権を、競売によって決定する制度である。そもそも電波は希少性のある国民共有財産であり、その共有財産を不当に安く得て利用しているのがテレビ局である。

先進国35ヵ国の状況を見ると、電波オークションを行っていないのは日本だけとなった。

テレビの報道番組でよく、公共事業について入札ではない随意契約で工事単価が高くなり、血税が余分に使われるという批判をする。しかし、自分たちの電波利用料の高止まりについてはいっさい口にしない。

 

日刊新聞紙法

日刊新聞紙法は、世界でも類例(るいれい)のない日本独自の法律である。新聞社に全国紙のすべてが株式会社で、地方紙も株式会社が多い。そして新聞社の株式には、日刊新聞紙法によって譲渡制限が設けられている。

朝日新聞は村山家と上野家という二つの家が代々オーナーとして存在している。株式の譲渡が制限されているため、オーナーを替えようと思ってもできず、オーナーは現在の地位に安住できる。

ところが現実は、日本の新聞社のオーナーは現場に口出ししないケースがほとんどである。代わりに現場トップの社長が経営のすべてを握ってしまい、絶対にクビにならない。

日経新聞は企業の不祥事があると、コーポレートガバナンスの重要性を説く。しかし、自分たちだけは別となっている。株式の譲渡制限に守られ、コーポレートガバナンスなど発揮しようがない。

 

IR法

IR法は報道ではもっぱらカジノ法といわれている。これは全体で259条にも及ぶ大がかりな法律である。実際、この法律に沿ってリゾート施設がつくられる場合、カジノ施設が占める割合は全体の3%以内に過ぎない。

新・情報7daysニュースキャスターがIR法について取り上げた。番組の中でIR法はトランプ法と呼び、さらにキャスターの安住氏がカジノ法案が通るくらいなら、パチンコ屋さんにも頑張って欲しいと述べたことに問題がある。

まずトランプ法との決めつけは誤りである。IR法の前に、IR推進法があった。このIR推進法は、いわゆるプログラム法であり、政府に対して施行後一年以内を目途として実定法を講じなければならない、としていた。

トランプ氏が大統領に勝利したのは2016年11月のこと。IR推進法は、その一年半前に国会提出され、その当時の、トランプ氏は泡沫(うたかた)立候補扱いだったので、どう考えてもトランプ法というのは無理がある。

そもそも、テレビは依存性の懸念でカジノ反対だったはず。日本の依存症患者の多数はパチンコである。

 

復興増税

2011年の東日本大震災の際、復興増税の導入という古今東西にない愚策が実行された。大震災時の増税はありえない。大災害が100年に一度なら、復興費用は百年国債で調達するのが原則である。大災害時の増税は経済学の課税平準化理論にも反するもので、愚策である。

 

下記書籍参照