概要
最も基本的な考える力を鍛えられる。深く考えることができるだけでなく、ゼロ秒思考と言える究極のレベルに近づける。
考えるためのヒントとゼロ秒思考について解説している。
感覚を言葉にする
思考と言葉の関係について、意識してもらいたい。思考は言葉によってなされるということ、そして感情も言葉にできるということである。
言葉を的確に使う
コミュニケーションは、お互い平常心で相手のことを思いやって行う時が一番効果的である。意思疎通が進みやすいし、喧嘩にもなりにくい。
相手側に質問がある場合も、こちらの状況をうまく説明したうえでの疑問になるため、話が前に進みやすい。そうすると、やりとりが楽しく、一歩進んだ説明やディスカッションになる。
こういうコミュニーケーションができるようになると、ミーティングに自然体で臨めるので、気持ちを押し殺したり過剰に背伸びしたりせず、一層自然にうまく伝えることができるようになる。
即断即決
優れた人は、高速で動き大きな成果を出す。
ただ、そういう人は本当にごく一部である。ほとんどの人は延々と時間をかける。
新入社員は、書類の書き方や礼儀作法については教わることが多い。ただ、瞬時に情報を把握すること、問題点を整理すること、解決策を考えることなど、考えるという基本作業に関してはほとんどトレーニングされない。
もう一つは、生産性という概念の欠如である。
デスクワークに対しては、生産性という概念があまり広まっていないし、体系的な努力もほとんどされていない。
経営者を見ると、多くの人が即断即決である。
どんなことに対しても、これはこうかなという仮説を立てている。あるいは立てることができる。仮説は立てた後で検証する。検証して違っていれば、すぐに立て直す。このスピードが滅法速く、かつ迷走しない。
ゼロ秒思考
思考の質とスピード、双方の到達点がゼロ秒思考である。
ゼロ秒とは、すなわち、瞬時に現状を認識をし、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できることである。
情報収集
ゼロ秒思考といっても、情報が不足していれば最小限の調査・情報収集が必要となる。
慣れてくると、二つの点である程度の勘が働くようになる。一つは、適切な判断をするために必要な情報を自分が持っているかどうかに関してだ。
二つ目には、情報が足りない場合、どこからどうやって鍵となる情報を取ったらよいかに関しての勘である。
問題は、大半の人が調べすぎてしまうことにある。
先延ばしにすることで方針決定の精度が上がるならいいが、ほとんど場合、上がらない。
メモ書き
ゼロ秒思考を身につける最短、最良の方法が、メモ書きである。
メモ書きを3週間から1ヶ月続けると、頭にどんどん言葉が浮かぶようになる。
さらに数ヶ月続けると、瞬間的に全体像が見えるようになり、ゼロ秒思考に近づいていく。
メモを書くと、何よりも頭がスッキリする。頭に浮かぶこと、揺らいでいることを言葉にしていくので、もやもやがほとんどなくなる。そうすると、今心配しても仕方がない心配事、なんとなく気になっている懸案事項などが整理され、本当に大事なことだけが見えてくる。
メモを書くと、頭の整理ができるようになる。頭の整理ができるというのは、今何が大切か、大切でないが、今何をすべきか、しなくてもよいのか、常に明確にわかっているということである。
メモを書く際は、A4用紙を横置きにし、左上にタイトルを書いて下線を引く。しかも1ページにびっしり書くのではなく、わずか4から6行のみ書いて終わりにする。
右上には、年月日を入れる。
本文
難しいことは何も考えない。構成も考えない。言葉も選ばず、ふと浮かんだままである。
本文を4から6行書くというのに理由がある。思いついたタイトルに対して頭に浮かぶことを書き出すと、大体は4行以上になる。
6行までというと、それは、頭の中を常に整理しておくためである。だらだらと書き続けると、大事なことも大事でないことも書き連ねてしまう。
思いついたこと、気になること、疑問点、次にやるべきこと、自分の成長課題、腹が立って許せないことなど、頭に浮かんだことは何でも書く。頭に浮かんだそのまま、フレーズを書き留める。
思いついた瞬間
メモは思いついたその場ですぐに書くことである。夜寝る前にまとめて10ページではなく、原則、思いついた瞬間である。何かが気になったその時、忘れる前に書き留める。このやり方が一番新鮮な気持ちで書くことができる。
アイデアとは一期一会なのだと考えている。
深掘りすると効果的
メモによっては、1ページに書いた4から6行それぞれをタイトルとして、さらに4から6ページのメモを書くと考えが非常に深まり、整理される。内容が一段も二段も濃くなって、いっそうスッキリする。
一つのタイトル=テーマを深掘りすると、あっと言う間に難しい問題が小分けにされ、分解して整理でき、同時に全体像が頭に入るという大きなメリットが期待できる。
チーム
メモ書きは一人で実施するだけではなく、チームメンバー全員で取り組むと、さらに大きな成果が期待できる。まず、チーム全体のスピード感が上がる。1ページ1分以内を目指すので、あらゆる検討、分析、意思決定、実行スピードが向上する。多くの人が陥りがちな、考えの堂々巡りが大きく減る。責任や役割分担等での水掛け論をすることがほぼなくなる。
何より、共通言語ができるので意思疎通が素早くなり、齟齬がなくなるので非常に効果的にプロジェクトを進めることができる。
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