スーパースターブログ

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『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』 感想

 

概要

著書のコンセプトは「一人の天才を生むことは難しいが、一人一人の心に小さなオードリー・タンを宿そう」である。

自分の中に小さなオードリー・タンを宿す方法の一つが、彼女が今、台湾政府の中で推進しているソーシャル・イノベーションである。

 

オープンソース

彼女が、最も得意とするのは共同編集と協業だと言う。しかもそれは、インターネット的な、そしてオープンソース的な取り組みである。オープンソースとは、ソフトウェアを作った際のソースコードを無償で公開し、誰にでも自由に編集・再配布できるようにしたもののことである。
 

シビックハッカー・コミュニティ

シビックハッカー・コミュニティ<gov(零時政府)>(カウ・ゼロと読む)。

シビックハッカーとは社会問題の解決に取り組む民間のエンジニアのことで、台湾における彼らの数は、世界でも三本の指に入ると言われている。シビックハッカー内にも様々なコミュティが存在しているが、その中でもソフトウェアのソースコードを開放する<オープンソース>に関心のある者が集うコミュニティから<gov>は生まれた。彼らは政治をゼロから再考するというスタンスを表したもの。「『なぜ誰もやらないのだ?』と訊くのをやめて、まず自分がその『やらない人』の一人であることを認めよう。万能な人は存在しない」。これらが彼らのモットーである。

ハッカソン

ハッカソンとは、ハックとマラソンを組み合わせた造語で、エンジニアやデザイナーらが一定期間、集中して開発作業を行うイベントのことである。I T業界では頻繁に開催されているもので、特定のチームを組み、意見やアイディアを出し合いながら制限時間内に出したアプトプットで成果を競う。

 

ひまわり学生運動

ひまわり学生運動は、2014年3月18日から23日間に亘って続いた民衆の政府に対する大規模な抗議行動で、日付にちなんで<三一八学生運動>とも呼ばれている。

台湾では「1980年代以来の台湾において最大規模となるデモ」と表現されることが多い。

2014年3月17日、台湾の最高立法機関である立法院では、台湾・中国間におけるサービス分野の市場を開放する<サービス貿易協定>に関する審議が行われていた。しかし、当時の馬英九政権下で与党だった国民党の議員が一方的に審議を打ち切り、強行採決してしまう。

この<サービス貿易協定>で、台湾は通信・病院・旅行・運輸・金融などの市場を中国資本に対して条件付きで開放することになり、これは台湾のサービス業従事者にとって大打撃となることは不可避であった。

多くの人々に関わるこの大事な協定の締結について、当時の政府は一切状況を国民に公開せず、協定締結後に初めて、締結したことを明らかにしたのだった。

こういった政府の不透明さに対し、野党だけでなく国民も不満を訴えた。翌日の18時頃からデモを起こして立法院周辺に集まり、300名を超える学生たちが立法院の議員堂内に侵入し、占拠した。

<ひまわり学生運動>という名称は、立法院議事堂を占拠しているデモ隊に向けて匿名の国民からひまわりの花が贈られたことに由来し、希望の象徴として議事堂には次々にひまわりが届けられた。

 

デジタル活用

<ひまわり学生運動>で、オードリーら<gov>が行ったこと、それは、デジタルを活用したコミュニケーションの確保だった。「市民は会話を求めて立法院に集まった考えや主張が異なるもの同士、まずはお互いを見えるようにするべきである。その上で、合理的な対話をして解決の糸口を見つけよう」。それが彼女たちの姿勢であった。デモ初日の夜から最終夜までの22日間、立法院議事堂内も外もお互いの様子がリアルタイムでわかるように、YouTubeライブなどを利用してライブ中継を行った。

4月6日には当時の立法院長・王金平がその国民の要求に答える形で<協定を監督する条例>の立法化を優先し、それまで<サービス貿易協定>の与野党審議は行わないと発言。デモ隊は占領していた議会から退出する形で幕を下ろした。

<ひまわり学生運動>は、台湾の民主主義の歴史において成功したデモと位置付けられている。

 

ソーシャル・イノベーション

「社会問題とは誰かが解決してくれるのを待っていたり、自分一人で解決しようとしても永遠に一部分しか解決できません。異なる能力や角度で物事を見る人が、自分とは異なる部分の問題を解決できるのです。だからこそ、皆で分担して問題を解決するということが非常に大切です。そして解決方法をシェアしていくこともまた、とても大切なのです」

こうした姿勢を<オープン・イノベーション>と呼び、この姿勢で社会問題の解決に当たることを<ソーシャル・イノベーション>という。

 

総統杯ハッカソン

2018年から毎年開催されている<総統杯ハッカソン>である。

総統の名の下に実行されるこのハッカソンは、台湾各地が抱える課題を国民が提議し、政府が開放するオープンデータを活用しながらその解決策を提案するというものである。毎年5組がグランプリとして選出され、受賞したプランは、1年以内にどのように実行するかを確認される。

台湾の行政は縦割り組織で、異なる組織を複数跨いだ課題を主体的に提議するのは難しい。だが、<総統杯ハッカソン>では、ソーシャル・イノベーションという概念を軸に据えることで、異なる公務員組織のメンバーがいくつもチームを組んで提案している。

 

マスクマップ

新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた台湾で、国内がマスク不足に陥るのは不可避だと政府が判断したのは、2020年2月3日。そこで、国内のマスクはすべて政府が買い上げ、実名制で販売、マスクの輸出は禁止することを発表する。実施開始日は発表からわずか3日後の2月6日とされた。

オードリーはこの状況下で見事な手腕を発揮し、実名販売実施の2月6日までに、シビックハッカーらと共に全台湾に6000ヵ所以上もある販売拠点におけるマスクの在庫が30秒ごとに自動更新される<マスクマップ>を開発。これにより、マスクを公平に行き渡らせようとする政府の姿勢が可視化され、いつどこで入手可能かの最新情報が示されたことが市民の安心感へと繋がり、パニックを免れた。

 

ハクティビズムになる

「クリックティビズム」とは、インターネットで「いいね」を押したり、クリックやシェアをしたりするといった行動を取ること。一見主体的であるように見えるものの、人の行動に反応している受動的な行為に過ぎないとも言える。

一方の「ハクティビズム」は、「ハック」と「アクティヴィズム」とを掛け合わせて作られた造語で、自ら主体的な行動をとっているかどうかが問われる。

受け身の「クリックティビズム」から、疑問を組み立てて質問する力や、議論・討論を重ね、熟考できるようになり、自分で議題できるようになる過程を経て、社会のために実際に自ら行動する「ハクティビズム」が実現できるようになっていく。

シビックハッカーらの間では、このような概念のもとに新たな文化が形成されていく。

 

価値観から人と知り合う

コミュニティを培ってきたオードリーが大切している考え方がある。

「『価値観から相手を知る』という、私の好きなことがあります。新しく誰かと知り合う際、相手が心の中で大切にしていることを通して、相手の価値観を知る」

今はインターネットを介して同じ事柄に関心を持つ人々との繋がりが得られ、新しい知識や情報をシェアし合ったり共同体験をすることができる。オープンソース・コミュニティの働き方とは、このようなとてもリラックスした関係の中で行われていくから、達成感もより高まるのである。

 

面白いと思う

この世に数多にある物事の中から何をテーマとし、自分の限られた時間やお金を使ってどう行動したらいいのか?ということだ。自分の興味のあるテーマであれば、どんなジャンルであっても少しくらいは貢献できるのかもしれないが、これだという決め手を見極めるのはなかなか難しい。

「私の行動原理はとてもシンプルで、自分が面白いと思うことしかしないということです。

面白いと思いながら何かに携われる場合、私はその過程で新しい学びを得ることができ、私と一緒に仕事をしている人ともそういった学びの楽しさを共有でき、彼らもまたより積極的に参加してくれるようになるからです。ですから私にとって何より大事なのは『楽しむこと』なのです」

 

スラッシュ族

自分のいる会社の仕事ではとても楽しさは実感できない。だからといっていきなり会社を辞めて起業したり、社会問題を解決すべく団体を設立したりするのが難しい場合はどうしたらいいのか。

「台湾では、スラッシュ族と呼んでいますけれど、そういった働き方でも良いでしょう」

スラッシュ族とは、アメリカのコラムニスト、マーシー・アルボハーの著書に登場した言葉で、複数のスキルや経験を横断してキャリアを形成している人たちを指す。自分のキャリアを紹介するとき、複数の仕事や職歴を『/(スラッシュ)』で区切ることから、この名が付いたという。

 

自分に合ったテーマ

私たちはどのようにすれば自分に合ったテーマを見つけられるだろうか。

「たくさん試すことです。できるだけ様々な可能性を感じるようにすることです。あなたがはじめに無理をして受け入れたものをずっと続けなさいということではありません。目の前のことに縛られ、自分に何ができるかを制限しないでくださいということです。」

 

下記書籍参照