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『NATOの教訓』 感想

概要

N A T Oの歴史や詳しい仕組みについては全体像がわかる程度にし、具体例を書いている。

 

実績

N A T O加盟国の本土は70年間、一度も武力攻撃を受けたことがない。世界史において、一国が70年間も武力攻撃を受けない事例は珍しい。なおかつ、複数の国が加盟する同盟の全構成国が70年間も平和であった。

 

発足

1948年の春、英仏はアメリカに防衛構想を打診し、同年夏にはアメリカ上院アメリカ大陸以外の国との同盟締結を容認する決議をした。その後、北大西洋条約の作成作業が始まり、多くの国へ参加が打診された。最終的に、1949年4月に12カ国が北大西洋条約に署名し、北大西洋条約機構(N A T O)が発足した。

ソ連はN A T Oが覇権主義を目指す同盟であり、その形成は国連憲章違反だと主張して猛反発した。それに対して加盟国は、N A T Oの目的は覇権拡大ではなく防衛であり、国連憲章が認める集団的自衛権の範囲内にあたり、憲章違反ではないことを主張した。

 

トロール

N A T Oが、集団防衛を定める北大西洋条約第5条に基づいて集団的自衛権を初めて行使したのは、2011年9月11日のアメリ同時多発テロである。アメリカは第5条に基づいてN A T Oに支援を要請し、N A T O軍はアメリカ領空のパトロールを始めた。

 

国連との違い

国連はほとんど機能せず、無用の長物になっている。

国連の最も重要な役割は国際紛争の平和的な解決や戦争、紛争の防止である。だが、その役割は全く果たされていない。

国連はほとんどの国が加盟している。対立する国同士を内に抱える組織が、機能するはずがない。

構造的な問題もある。国際紛争解決を担当する国連安全保障理事会では、常任理事国が拒否権を持つが、その中に中国とロシアがある。多くの国際紛争に自分たちが直接的、間接的に関わっているので、中ロが拒否権を発動すると何も決められない。

 

N A T Oに加盟・非加盟

ウクライナジョージアはN A T O加盟国ではなかった。2008年にN A T O加盟のための行動計画への参加を申請したが、却下された。その半年後、ロシアはジョージアに侵略し、領土を占領した。

2014年、ロシアはウクライナに侵略しウクライナ領土の7%を占領した。

バルト三国エストニアラトビアリトアニア)よりもはるかに大きいウクライナは侵略され、バルト三国は侵略されていない。その違いはN A T Oに加盟しているかどうかである。

 

吉田ドクトリン

吉田ドクトリンとは、安全保障をアメリカに依存することで、軽武装を維持しながら経済の復興、発展を最優先することによって国際的地位の回復を目指した戦後日本の外交の基本である。

吉田ドクトリンが日本の足枷になっている。憲法9条を改正できず、自国の防衛、安全保障政策を自主的に制限している。

 

トルコ

第二次世界大戦直後、トルコの最大の脅威はソ連であった。そこでN A T Oへの加盟は、トルコの接願でなった。ところが、ヨーロッパ諸国はトルコを仲間として受け入れることに否定的であった。

1950年朝鮮戦争が勃発。国連の決議を受けて、トルコはすぐさま朝鮮に派遣する部隊の編成を始めた。トルコは朝鮮戦争への参加を、自分たちが西洋社会の一員であることを行動で示すチャンスと考えた。

1950年にトルコは二度目のN A T O加盟の申請を行ったが、却下される。加盟拒否にもかかわらず、トルコは参戦の準備を続けた。

結局1953年7月の停戦までに合計15000人のトルコ兵が朝鮮戦争を経験した。

トルコ軍の存在を西洋世界に知らしめたのが、1950年のクヌリの戦いである。当時、国連軍を包囲寸前まで追い込んだ中国軍を、トルコ軍が多くの犠牲を出しながらも必死に食い止めた。

このトルコの戦いぶりがアメリカ指導部の意見を変えた。1951年にアメリカは同盟国に対し、トルコをN A T Oに加盟されることを提案。次いでイギリスも支持した。

1951年10月にN A T O加盟の議定書が署名され、1952年2月15日に同議定書が発効、18日にトルコ大国民議会は圧倒的多数で加盟を議決してトルコは正式に加盟国になった。

トルコの加盟後、ソ連はトルコに対する領土の主張も、海峡の通行権の要求も取り下げた。

 

国防

国防の努力とは、国内ですることである。防衛費の増加、再軍備、人材育成、軍事インフラの整備、技術開発などである。

なかでも同盟国、友好国との連携関係は非常に大事だ。そして同盟国、友好国との関係を強化するには、国際貢献、軍事支援や参戦が必要な場合もある。

 

トランプ政権

トランプ政権が行った減税などの経済政策はアメリカの景気を回復させ、失業率を下げた。防衛費は4年間で約6000億ドルから約7000億ドルまで上がった。

中国の情報工作や謀略活動、貿易におけるダンピング(不当な廉売)などの不正が問題視されるようになった。

中国語教育機関孔子学院」の活動も、技術の盗難や諜報の拠点として制限している。中国の大手企業との取引に対する規制も実施した。

 

実利外交

価値観外交か、実利外交かという軸で考えると、トランプ政権は実利外交に傾いていた。価値観外交とは、目先の利益にとらわれず、損を覚悟してでも価値観や信念に基づいて行動する外交政策のことだ。実利外交とは、価値観や信念を横において自国の直接の利益、特に経済利益を追求する外交政策である。

 

サラミ戦法

中国の公船は頻繁に尖閣諸島付近の接続水域に近づいている。中国はサラミ戦法つまり一気に攻めるのではなく、少しずつ日本の主権を侵食し、実効支配の既成事実を作る戦略を取っている。中国ははっきりと尖閣諸島は中国の領土と公言している。

 

憲法改正

2020年に行われたロシアの憲法改正である。

一点目は、領土割譲禁止条項である。文字通りロシアの領土を割譲することと、ロシアの領土割譲を呼び掛けることを憲法で禁止した。つまり北方領土クリミア半島の返還を禁止した。

ロシアは日本とは領土交渉をしていないし、したことがないという立場を貫いている。

二点目は、大統領の任期制限に関する条項である。改正後の条文には、大統領の任期制限は2期までと書いてある。併せてこの改正条文が有効になる前の任期は数えないとも書いている。今期は2024年に満了するが、同年に実施予定の大統領選挙ではプーチンが新人として立候補できる。

三点目はロシアはソビエト連邦の継承国であるという条文である。

四点目は、歴史認識条項である。「ロシアは祖国を守った人々の栄光を尊敬し、歴史的な真実を守る。祖国防衛における国民の偉業の過小評価は禁止する」という条文である。

国民の偉業=第二次世界大戦における勝利のことである。

五点目は、国内法は国際法より上という規定である。

六点目は「ロシア大統領に立候補する人は直近25年間、ロシア国内に住まなければならない。また、外国の国籍もしくは永住権を所有する、もしくは過去に所有した人は大統領選挙に立候補できない。ただし、ロシアの一部になった国家、もしくはロシアの一部になった他国の地域には、直近25年間住み、その国の国籍以外の国籍もしくは永住権を所有していない人は大統領選挙に立候補できる」。つまり、ロシアがこれから領土を増やすことを前提にした条文である。

 

戦争犯罪

ソ連の捕虜になった日本兵の多くはシベリア抑留者となり、祖国に帰還できるまで何年もかかった。帰れずにソ連に残らざるを得なかった人もいるし、最低でも6万以上はソ連で死亡した。ソ連による日本兵の抑留は国際法違反であり、戦争犯罪である。

 

責任を問えない

ロシアでは2020年12月、大統領経験者の刑事責任を将来にわたって放免する法律が可決された。この法律によって、ロシアの大統領経験者やその家族は逮捕どころか、尋問すらできない。

 

ポピュリズム

ポピュリズムの国に共通しているのは、一般社会の生活が悪くなっており、社会から正義が失われているのは、何らかの悪意や陰謀が働いているからだと考える雰囲気である。

だが、生活の悪化と正義の不在の原因は複雑であり、改善には多くの努力や年月が必要である。しかしポピュリストは、複雑な問題に単純な解決策があると主張する。

 

ハンガリー

オルバーン政権は、ハンガリーがE UとN A T Oに加盟している立場を利用し、ウクライナへの要求と内政干渉を繰り返している。たとえば、ウクライナ西南部のザカルパッチャ州を中心に、ハンガリー人のマイノリティが住んでいる。オルバーン政権は彼らの存在を利用してマイノリティの権利保護という口実で、ウクライナに対して内政干渉を行っている。

また、E UやN A T Oにおいて、重要な決定は全て全会一致で決まる。ウクライナがE UとN A T Oとの関係を強化するためには、全加盟国の賛同が必要だが、ハンガリーは加盟国の拒否権を利用して、妨害している。

 

ベラルーシ

ベラルーシは、独自の文化と言語、長い歴史を持つ東ヨーロッパの国である。

1994年、アレクサンドル・ルカシェンコが大統領に就任した。ルカシェンコは、極端な新ロシア政策を進めた。ロシア語をベラルーシと同じ国語にし、ベラルーシ語を知らないまま育っても問題ないようにする仕組みを作った。

ベラルーシ人なのにベラルーシ語が話せない人の方が多い、という事態になってしまった。

ルカシェンコはよくヨーロッパの最後の独裁者と言われる。

 

ロシアが指定

ロシアは衛星国の中の政権交代は全て、ロシアの承認によって行うべきだと考えている。ロシアが指定した人物が衛星国の指導者になるべきであり、最悪、指定以外の場合であっても事前に許可を伺い、ロシアが指導者になることを容認した人物でなければならない。

 

サイバー攻撃

2020年12月に公表されたS U N B U R S Tという名のサイバー攻撃である。同年、ロシアのハッカー集団がアメリカを始め西洋諸国の国家機密や民間企業のコンピューターシステムに侵入し、約半年にわたって情報を盗んでいた。

これほどの大規模な攻撃は、民間の集団には不可能である。ロシアの諜報機関による組織的な攻撃であることは間違いない。

 

新S T A R T

トランプ前大統領はI N F全廃条約を破棄したのは本当に英断であった。中国は参加しておらず、ロシアは守らないI N F条約はアメリカの足枷となっていた。

トランプ前大統領は新戦略兵器削減条約(新S T A R T)についても、破棄寸前持ち込んでいる。だが、同条約の失効直前にアメリカで政権交代が起こり、バイデン大統領が新S T A R Tを延長したのは残念である。同条約は核兵器の配備数や運搬手段について制限を課される。アメリカはロシアを追い詰める手段の一つを失ってしまった。

 

次は

2014年に、ロシアはウクライナを侵略し、クリミア半島ウクライナの東部2州で戦争が現在でも続いている。地理的にロシアとN A T Oの間にあるウクライナが事実上、N A T Oの盾となっている。ウクライナが陥落すれば、M A T Oの加盟国が次のターゲットになる可能性がある。

 

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