スーパースターブログ

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『世界と日本経済大予測2022-23』 感想

 

本書では、2021年10月現在までの国際・国内情勢を振り返りつつ、膨大なデータの分析・予測を試みた。

 

トヨタ

トヨタは2021年9月に世界で約90万台の生産を予定していたが、それを約54万台にすると発表した。減産の決定は新型コロナウイルス感染の再流行が供給に大きな影響を与えるという判断によるものである。

トヨタは安価な部品をベトナムなどの東南アジアで作っている。マレーシアもそのうちの一つである。同国もデルタ株の拡大により日本人駐在員が帰国したことで工場を一時停止した。

 

コンテナ

2021年8月に世界3位のコンテナ取扱量の寧波舟山港が部分閉鎖された。

閉鎖されたターミナルは同港のコンテナ取扱量の約20〜25%と言われており、世界の物流に影響を与える。

コンテナがどこかで延滞・滞留を発生すると、全体が動かなくなる。物流を止めるか、どうしても輸送しなければならないものは、特別な手段で輸送するほかない。その結果、物流コストが上昇する。すでにヨーロッパの物流コストが6倍になったという話もある。

 

日経平均株価

日経平均株価の停滞する要因としては、任天堂ユニクロソフトバンクといった値がさ株(1株あたりの金額が大きい株)企業が課題を抱えている点が大きい。

ソフトバンクグループは滴滴出行(DiDi)をはじめ多くの中国ハイテク企業に投資しているが、中国当局によるI T大手締め付けに振り回されている。

ユニクロチャイナリスクに苦しむ。

任天堂ベトナムなどに生産拠点があるため、生産が間に合わないという状況になりつつある。

日本株の原動力になっていた銘柄の落ち込みが日経平均に影響している。

 

ダムの影響

中国近隣の海水温上昇が気候に悪影響を与えている。

中国は三峡ダムを造り、大陸の大きな水の流れを変えた。100万人を超える住民を立ち退かせて、全長600kmもの貯水池を建設した。その結果、中国黄海に流れ込む水の量が減ったことで、温暖化を招き、日本の気候にも影響を与えているといわれる。

海水温の上昇によって、それまで大雨が降らなかった九州山地の西側、そして瀬戸内海地域に近年、大雨被害が出ている。九州の西側海域の海水温が26度以上になって水蒸気を生み出し、それがエネルギーとなって前線を刺激し続けるというメカニズムである。

フィリピンで生まれた台風は、黒潮に乗って日本列島に沿って北上するのがパターンであったが、今は中国大陸に向かうタイプのものが出てきた。台風は海水温が温かい場所に沿った移動するからである。

 

蓄電技術

太陽光は天気が悪い日は発電しない。風のない夜は太陽光発電風力発電はまったくの役立たずである。結局、再生可能エネルギーの多くはベースロード電源にはなれない。

さらにパネル処理の問題もある。ソーラーパネルは素材としては有害物質やガラスなどを使っており、耐用年数を超えたパネルは最終処理する必要がある。最終処理といっても最後は埋める。

災害時には別のリスクもある。例えば洪水被害があった後も、日光が出れば発電し続けてしまうため、周囲が水浸しの状態の時は近寄ることもできない。

環境に優しいどころか、環境を破壊して作られているのが実情である。

結局、効率的な電力利用のために最も重要になるのは、蓄電技術である。

そこで注目されるのは全固体電池である。

全固体電池はEV向けの電源の本命であり、日立をはじめ様々なメーカーが開発を進めている。

今やスマートフォンやノートパソコンのバッテリーとして欠かせないリチウムイオン電池だが、液体の電解質を利用するため安全面に不安が残る。

それに対して、電解質を固体化する全固体電池は、爆発するリスクがほとんどなく、しかも急速充電が可能など、素材として安定している。

 

パネル

太陽光パネルの主要原材料のシリコンは、全世界の約4割が新疆ウイグル自治区で生産されている。今後はこのシリコンにもウイグル問題が絡んでくることが予測されており、価格は1年間で5倍近くに高騰した。太陽光発電のコストも一気に高まる結果を招いている。

 

人口減少

日本人は人口減少社会に入っており、自然減で1年に約45万人を記録している。ちなみに45万人というのは葛飾区の人口に匹敵する。日本の人口は約1億2000万人だから、45万人はおよそ0.3%に当たる。つまり、このペースで減り続ければ、300年ぐらいで日本国民はいなくなる計算である。

しかし実際のところは、2064年よりも早い時期に世界的な人口減少は始まると考えられている。その原因は食糧難である。

人口が増え続けるという2064年までは、食糧需要も増加し続けるということである。

 

アマゾン

今の時代、アマゾンを単なる物流企業と捉える人はいない。アマゾンプライムを擁する総合エンターテインメント企業であり、さらにクラウドなどのネットサービスまで抱えている。このような状態は独禁法違反ではないかとアメリカ国内でも問題視されてきており、将来的に会社が分割される可能性が大きい。

バイデン政権下は、超巨大企業による市場の寡占を認めない方針であり、独禁法違反、反トラスト法違反での捜査が進むのは間違いない。

 

GAFA

GDPR(E U一般データ保護規則、E Uではすでに導入済み)が、各国で導入され始めれば、GAFAクラウドなども、各国に置かなくてはならない。

現在は電力の安い地域に置いたサーバーをグローバルに使ってコストを低減しているが、例えば日本国内にサーバーを置くとなると、GAFAにとってメリットは失われてくる。

 

ワクチン開発

モデルナやファイザーなどによるワクチン開発が進むほど、他の製薬メーカーの後退が顕著になることである。

保護法益が国民の健康、生命という非常に重要なものであるため、ワクチンを誰が作ったかではなく、効果がどの程度あるかという、極めて客観的な基準で承認の可否が決定される。

 

国民皆保険

日本のワクチン製造が遅れた最大の理由は国民皆保険にある。

医療制度がない国では、治験に参加すると限定的な保険がもらえることがある。1年や2年の経過観察期間内に保険医療が受けられる。そのため、貧困層から多数の応募があって研究が進む。しかし、日本の場合は、国民皆保険であるがゆえに、自ら治験に参加しようという人が少なく、開発が遅れたという皮肉な結果となる。

 

ゼロリスク

緊急時のワクチンや特効薬の承認のプロセスを特例として迅速化させる。

国会議員を選ぶ国民がリスクを共有しない限り、こういう問題は前に進まない。大事なのは緊急時の対応に国民のコンセンサスをとること、そして、その前提にあるのは、無謬制の排除である。ゼロリスクなどというものは幻想である。

ゼロリスクこそ最大リスクである。

 

中国

バイデン政権は、中国の動きを静観しているだけである。その好例が、アフガン問題である。

タリバンによるカブール制圧の後、アメリカ大使館員は退避し、中国大使館は通常の業務を続けている。アフガン情勢がどちらの国の思惑に沿ったものか明瞭である。

 

中間選挙

2022年には、中間選挙(4年に1度の米上下両院議員選挙)が行われる。

アメリカの中間選挙は、下院が総入れ替えになる(上院は3分の1が入れ替わる)。

現時点で上院はかろうじて民主党に有利ではある。だが、上院ではフィリバスター(議事妨害)制度といって、少数党が法案を通さない戦法を取ることができるため、それを防ぐためには定員100のうち60を占めなければならない(60票あれば、相手のフィリバスターをやめさせることができる)。

政権与党にとって上院の60議席は自分たちの出した法案をすべて可決できる絶対安定多数のようなもの。上院は法律においての優越、下院は予算においての優越というのがアメリカの議会構造である。

 

タリバン

トランプ政権になってからタリバンとの和平協定を結び、安定したアフガニスタンを構築する前提で段階的な撤退協議を進めていった。しかし、トランプが大統領選で敗れた後、タリバン側とは事実上、没交渉になった。バイデン政権は9・11に合わせて撤退だけを決め、その具体的な交渉を怠ってきたと言われている。

結局、タリバンは中国に接近した。2021年7月28日、王毅外相とタリバンの代表者が会って中国と和平協定を結び、タリバン側が中国から支援を受ける確定を取った時点で、ドミノ倒しのように各都市がタリバン支配下に入り、結果的に8月15日にはカブールまで陥落してしまった。

 

帝国の墓場

帝国の墓場という言葉があるが、これは紛争地域に覇権国が入り込むと、逆に覇権国が崩壊してしまうという世界史の通奏低音となっている。ローマ帝国然り、大英帝国然り。ソ連も1979年のアフガン侵攻から崩壊へ向かった。アメリカはおよそ20年でアフガニスタンを捨てたが、2兆ドルもの戦費と2000人を超える兵士の命を犠牲にした。

 

日本だけ

フッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガス(フッ化水素)という半導体材料はオンリージャパンの代表例。高純度のフッ化水素を作れるのは日本だけである。

 

原薬

日本で売られている薬の原薬は90%近くを中国に依存している。この状態になっているのに、日本の環境基準が厳しいことに起因している。

例えばマーキュロクロム、通称赤チンと呼ばれたキズ薬があった。

製造工程で出る廃液に水銀化合物を含むことから1970年代前半に原液の国内生産が中止され、海外生産に切り替えられた。原液を輸入して細々と製造は続けていたが、2020年12月31日に、水銀による環境の汚染の防止に関する法律によって国内での製造も規制されるようになった。

 

国定教科書

2021年9月から教科書制度が変わった。

これまでは省ごとに採択されていた教科書を国定教科書に統一した。その教科書は、中国共産党に都合がいいように編纂された歴史や文化を徹底的に刷り込む内容となっており、西欧諸国の思想を否定するものと言われている。

 

アメリカでの上場

ハイヤーの配車サービスを運営するDiDi(滴滴出行)が2020年6月末にニューヨークで上場したが、直後に中国当局が規制をかけたことで株価が暴落した。

アメリカではDiDiの問題を受け、中国企業の上場基準を見直すとしている。その国の政府がさまざまな規制をかけてきたら、投資家の安全が守れない。それはニューヨーク市場の信頼に関わるから、アメリカとしては見過ごすことができない。

アメリカ証券取引委員会は、中国企業の上場条件として、政治リスクなどの明示を求めている。

 

台湾

アメリカは台湾への接近を強めている。もともと台湾関係法という事実上の軍事同盟を結ぶ法律を1979年に制定しており、2020年3月にはトランプ政権の下、台湾を外交的に支援する台北法を発効した。

 

インド

インドでは、大きすぎる人口が成長を妨げかねない。総人口14億人弱。近いうちに中国を抜いて世界一になると言われており、すでに人口抑制策を検討している。

人口が多いと、大量の食糧が必要になる。食糧の需要が増大すると、国際的にも国内的にも政治は不安定化する。

 

コロナ対策

2002年11月に中国広東省で最初の症例が報告されたS A R Sでの経験が大きい。

台湾では73名の死者を出したが、その時に防疫の最前線で活躍したのが、現総統の蔡英文と疫学の医師の陳建仁である。この2人がS A R Sを完全に封じ込め、蔡英文政権が2016年に誕生すると、陳建仁は副総統に任命されている。

新型コロナウイルスと戦うことになったわけで17年前の経験が役に立った。

 

韓国大統領

退任した韓国の大統領は在任中の不正行為などから収監されたり、自殺したり、悲惨な晩年を送ることが多い。

初代の李承晩大統領から前職の朴槿恵大統領まで11人の大統領が誕生し、職を去ったが、退任後に本人や親族が訴追されなかったのは、第4代の崔圭夏(チェギュハ)大統領ただ一人である。

 

韓国の空

国内5位のイースター航空が2020年8月に破綻。さらに11月には政府主導で大韓航空が2位のアシアナ航空を買収へと動き出した。合併後には大韓航空ブランドに統合され、アシアナという文字は消える。

人口5000万人の国で14もの航空会社が存在すること自体に無理がある。

 

海運

2020年どの海運会社の売上高を見ると、1位コスコ(中国)、2位マークス(デンマーク)、3位CMACGM(フランス)、4位M S C(スイス)、5位ハパックロイド(ドイツ)、6位日本郵船、7位ONE(日本)、8位商船三井、9位エバーグリーン(台湾)、10位川崎汽船

 

オフィス

三鬼商事の調べでは、2021年9月の都心5区のオフィス空室率は、平均6%を超えた。5%超えは2015年6月以来5年8ヶ月ぶり。

コロナ禍でリモートワークが浸透し、オフィスビルの需要が一気に低下した。

 

創薬

薬には製薬と創薬の2つがある。製薬は他社からのノウハウの移植でも可能である。しかし、創薬ができる国は日本を含む先進10カ国程度に限定される。

日本でも創薬の環境を作るために、製薬業を社会保障の一部とみなし、厚生労働省の予算内で薬価の決定を行ってきた。

薬価が決められ、その上で調達量が決まり、そこから出た利益で開発費を捻出していた。ところが、少子高齢化によって、医療費が削減され、薬価も抑えられてしまった。

そのため、各メーカーは、保険医療の分野だけでは創薬リスクを賄えなくなってきている。それなのに創薬にかかる単価、臨床のための単価は年々上昇傾向にある。

実は、P C R検査で使われる検査薬の原薬は韓国で作られている。