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『これが結論!日本人と原発』 感想

 

本書は、日本人は原発をどうしたらよいのかを考えるための、一つの材料としてもらいたいとのこと。

 

化石燃料の消費を最小限に抑える方法

ガスタービン・コンバインドサイクル(G T CC)という最高性能の新型発電設備を利用する方法である。使用する燃料は天然ガスで、国産の最新のものは熱効率が61%と、世界最高水準の驚異的な数字を示している。通常の火力発電と原子力発電では30〜35%程度であるから、コンバインドサイクルは、同じ電力を約半分の燃料で生み出してしまうものである。

通常の火力発電は石油などでお湯を沸かして蒸気を発生させ、その勢いでタービンを回転させて電気を生じさせる仕組みで、その排熱は利用されることがなかった。そのため、転換ロスが大きく、熱効率が悪かった。また、従来のガスタービン発電では高熱の排ガスをそのまま捨てていたため、熱効率は40%までしか上がらなかった。

しかし、コンバインドサイクル発電、いわばハイブリッド発電でガスタービン発電と従来の汽力発電を組み合わせ、両方の長所を活かせるため、熱効率は高い。

コンバインドサイクルの特徴は、その排ガスを利用するところにある。

その時に生じる約600度の高温ガスをそのまま捨てるのは勿体無いので、ボイラーに導いてお湯を沸かして蒸気を発生させ、その勢いで高圧蒸気タービンを回す。

国内で最も優秀なガスタービン発電でも熱効率43%が上限だが、コンバインドサイクル発電では50%以上に達し、さらに改良を加えた1500度級の新型改良型コンバインドサイクル発電は、60%に達する。

コンバインドサイクルは安価である点も見過ごせない。原発なら100万kW級1基で2000億円以上の建設費用と1000億円程度の廃炉費用がかかるが、コンバインドサイクルなら同じ出力で200億円程度と、原発の実に15分の1以下の価格で済む。

原発は計画から竣工まで20年から30年はかかるのに対し、コンバインドサイクルなら、2〜3年という短い工期で完成する。

東日本大震災の直後、タイ政府はガスタービン発電施設2基24万4000kWを無償貸与すると発表すると、平成23年5月20日に川崎港に到着した。そして、8月に稼働している。

 

天然ガス

国際エネルギー機関(I E A)が発表した平成23年の報告書によれば、天然ガスの可採年数は250年とされる。メタンハイドレードが実用化すれば、この数字はさらに上積みされることになる。

 

そもそも原発とは

放射能を持つ核燃料を原子炉内の水に沈め、制御棒を引き抜くと、核燃料が核分裂を起こし始め、その時に放出された熱が湯を沸かす。そして、その蒸気が発電機のタービンを回して発電するのが原発の原理である。端的に言うと、ウランの核分裂反応を利用してお湯を沸かし、その蒸気の勢いで発電するということになる。したがって、お湯を沸かしてその先の工程は通常の蒸気タービンの火力発電と同じである。

 

人災

我が国を襲った津波の歴史を調べてみると、ここ200年以内に、日本各地で今回東日本大震災津波に近い巨大津波は幾度も観察され、その危険性は前々から指摘されていた。

平成5年(1993)の北海道南西沖地震では、奥尻島青苗地区では10mを超える津波が観測されている。福島第一原発津波対策は僅か5.5mである。

また昭和8年(1933)に三陸を襲った昭和三陸地震津波は、遡上高が綾里で28.7mに及んだほか、明治29年(1896)に同じ三陸を襲い2万1959人の犠牲者を出した明治三陸地震では、遡上高が綾里で38.2mを記録した。この津波の規模は、東日本大震災津波の遡上高が宮古の重茂半島では38.9mあるから、これと同等だったことになる。

さらに遡ると、安政元年(1854)の安政南海地震では串本で15m、久礼で16m、また明和8年(1771)の八重山地震では津波の最大波高が40m、最大遡上高は宮良村の80m以上と言われ、この津波が確認できる最大の津波とされている。

このように、たった二百数十年の東日本大震災津波と同等もしくはそれ以上の津波が、何度も日本列島を襲っているのであって、専門家が千年に一度を本当に信じていたなら噴飯ものである。

 

出力

原発は年間を通じて出力調整をしない。というよりも、出力調整ができないのである。原発はウラン燃料を臨海状態に保ち、その発熱によりお湯を沸かしてその蒸気で電気を取り出す発電方式であり、臨海は一つ間違うと核暴走になる危険性があるため、昼に出力を高めて、夜に出力を絞るといった出力調整ができない。まして、毎日立ち上げて毎日シャットダウンすることは絶対にできない。定期点検を終えて炉を立ち上げると、1年間そのままの出力で運転が継続されるのである。ちなみに、チェルノブイリ原発の事故は、原発を止めるときに起こった。

従って、原発はベース電源にしかならない。

 

コスト

平成15年(2003)に電気事業連合会が公表したモデル試算による各電源の発電コスト比較によると、運転年数40年・設備稼働率80%の場合のkWh当たりの発電原価は、原子力5.3円、L N G火力6.2円、石油火力10.7円、水力11.9円となる。

ところで、電力会社が原発の設置許可申請書に明記した発電単価の値がある。これも実績ではなく、設置するに当たって試算したものであるが、たとえば福島第二原発では、kWh当たりの発電原価は、1号機が10.32円、2号機が10.79円、3号機が14.55円、4号機が13.43円となっていて、電気事業連合会の試算とは数字が離れている。

原発は電力の消費地である大都市から遠く離れた場所、すなわち人があまり住んでいない場所に設置する必要がある。そのため、原発の設置に当たっては、何百kmにも及び高圧線を張り巡らせて、遠く離れた大都市に電気を送らなくてはいけない。

100V送電線は、高さ100m以上の鉄塔を何百本も立て大都市と繋がっている。当然変電所も設置しなくてはならない。東京電力が公表した平成21年度(2009)の損益計算書によると、送電費用が約3564億円、変電費用が約1596億円で、この年の電力販売量で割ると、これらの費用は1kWh当たり1.84円かかっている計算となる。

また、原発誘致した地元に対して国が巨額の交付金などを振り分けているのも、元は電気料金を通じて国民が最終的に負担してきたものである。

原発は出力調整ができないため、原発の数を増やしていくに当たり、十分な電気の捨て場を用意しておく必要がある。これが揚水発電所である。原発のつくった余分な電気で夜間に水を汲み上げておいて、昼間にその汲み上げられた水を落下させて発電するというものである。

 

処理費用

放射性廃棄物は、2027年までに4万本のガラス固化体にされて保管されるが、六ヶ所村日本原燃の保管料実績によると、その費用は1本当たり8.5億円に上る。これが4万本となると、34兆円。そして、それ以外に、地層処分コストがあと3兆円かかるとされている。

 

二酸化炭素を出さない

原発は一見二酸化炭素排気ガスも出せず、石油を使わず電気を起こしているかのように見える。電気会社も原発は発電時に二酸化炭素を排出しませんと謳っている。しかし、原子炉だけの話で、実際は原子炉の外で行われるすべての工程で石油が使われている。

 

チェルノブイリ

1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発4号炉の事故の結果、いまだに数十万人が避難生活を送っている。

4号炉は当時核技術大国ソ連が誇る最新の炉で、運転2年目にして初の定期検査のため、24時間がかりで出力を降下させて炉を止める作業に入っていた。この日、ある実験が予定されていた。4号炉にはタービンの惰性で発電できるように改良が施されており、それを確認する実験である。数十秒で終わるはずのこの実験は事故の要因となる。

出力を50%まで下げたとき、電力需要が大きいため50%出力を維持するように管制所から指示があり、手動に切り替えて出力を維持した。実験のために炉心緊急冷却装置が切られていたが、そのとき再びセットするのを忘れていた。23時過ぎに出力落下を再開。だが深夜1時に停止させる当初のモードをリセットし忘れていたため、炉は急激に出力を落とし、実験をしないうちに停止に近い状態になってしまった。運転員のシフト交代時に伝達が漏れていた。このまま停止させれば何の問題もなかったが、同伴していた技術者は激怒した。

炉を止めると核分裂を抑えるガスが充満するため、再び出力を上げるのは困難だ。だが運転員は技術者の剣幕に押されて出力上昇を試みた。

やがて出力が上昇し始めたが今度は暴走状態になり、慌てて緊急停止ボタンを押したが間に合わずに、大爆発を起こした。

 

スリーマイル

1979年3月に米国ペンシルバニア州スリーマイル島原発2号炉で起きた。発端は炉心に冷却水を戻す給水ポンプの停止。僅かな水漏れが原因で、しかも炉心から離れた場所で起きた些細なトラブルである。この時補助給水ポンプが自動的に始動した。これで収束するはずであった。

だが、補助給水ポンプの出口弁が閉じていた。理由は、直前の点検で一時的に閉じたものを、うっかり戻し忘れたためだった。しかも、制御室には弁が閉じていることを示すランプが点灯していたが、ぶら下げていた紙片に遮られ見えなくなっていた。

 

石油の可採年数

石油の可採年数は、英国石油メジャーのB P社が毎年発表する数字がもっともよく引用される。これによると、2009年は45.7年、1980年は28.7年という。もし可採年数の枯渇までの年数を示しているならば、1980年代の数字を見る限り、もう石油は枯渇していなければおかしい。

可採年数は確認埋蔵量を年生産量で割って得られる。具体的には09年度末の確認埋蔵量1.33兆バレルを、その年の年生産量292億バレルで割った数である。

しかし、確認埋蔵量は地球上に存在する石油の総量ではない。その時点の技術レベルで採掘して採算が取れる石油量を示していて、油田の発見や技術の向上だけでなく、石油価格が上昇したがけで増える数字である。

 

コージェネレーション・システム

新たなエネルギー政策としてはまず、具体的にはコージェネレーション・システム(電熱併用システム)を積極的に導入するべきである。

コージェネレーション・システムは、病院、ホテル、商業施設など、大きなビルの地下に発電機を設置し、発電した電力と同時にその排熱を利用する形で既に全国的に利用されている。

コージェネレーション・システムは通常の発電所よりも小規模とはいえ、マンション単位では利用できなかった。しかし、近年は数十kWのマイクロ・ガスタービン(小型ガスタービン)が開発されたことで、中規模店舗やマンション1棟程度の規模でも、コージェネレーション・システムを導入可能となった。

 

水力発電

鉄道や高速道路で山岳地帯を旅していると、山の斜面に沿ってまっすぐに太いパイプが並んでいる光景を見ることがある。これが小水力発電である。この発電は小川の水を上流で取水し、水を落下させた勢いでタービン(水車)を回転させて発電する小規模な発電システムである。そして、使われた水は発電を終えると元の川の下流に戻されるため、環境負荷も小さい。

水力発電は、ダム建設と違って地形を変形させるような大規模な工事を伴わない。また火力発電などと違い、一旦建設すると燃料を入れることなく電気を生み出し続ける。

群馬県の県庁所在地である前橋市が、市民の消費する電力のおよそ3分の1を小水力発電で賄っている。市街を流れる広瀬川には、計6箇所の小水力発電所を設置されていて、最大出力は3万kWを誇る。

 

下記書籍参照